人間の土地 (新潮文庫)

人間の土地 (新潮文庫)


■序文から既に名文。やばいぞ。これ。


○「ぼくら人間について、大地が、万巻の書より多くを教える。理由は、大地が人間に抵抗するがためだ。人間というのは、障害物に対して戦う場合に、はじめて実力を発揮するものなのだ。もっとも障害物を征服するには、人間に道具が必要だ。人間には、鉋が必要だったり、鋤が必要だったりする。農夫は、耕作しているあいだに、いつか少しずつ自然の秘密を探っている結果になるのだが、こうして引き出したものであればこそ、はじめてその真実その本然が、世界共通のものたりうるわけだ。これと同じように、定期航空の道具、飛行機が人間を昔からのあらゆる未解決問題の解決に参加させる結果になる。」(P7)


○「努めなければならないのは、自分を完成させることだ。試みなければならないのは、山野のあいだに、ぽつりぽつりと光っているあのともしびと、心を通じあうことだ。」(P8)


■彼は「人間本質の探究」をこの本で導こうとしていた。じっくり読もうっと。