牧田幸文さんによる「スウェーデンにおける介護労働者の実態」を聴く。


男女平等や福祉国家の理想=スウェーデンだけれども、
実はスウェーデン人130万人が20世紀初頭アメリカへ労働者として赴き、
女性も労働市場に参加せざるを得なかった国家事情があった。
つまり、環境として、そうならざるを得なかった歴史的背景があった。


さらに政治難民を受け入れ、その難民たちがスウェーデンにおいて
自治体職員であり、労働組合によって守られ、収入が安定する介護労働者
になっていく実態と当のスウェーデン人が現場ではなく、学位を採り、
マネジメント職に就くという二重構造を知る。


日本の福祉政策を考える上で、とても考えさせられる。


さて、わたしが担当の教科書議論は激論となる。


しかし、いろいろな話をしながら目次構成のだいたいの骨格を確認できた。
内容に関しては、メールをベースにさらに議論をしていくことになった。


それにしても、やはりいろいろな方々の議論の前提は、やはり国家や自治体を
ベースにした国家システムにおける経済のあり方とその研究のあり方を、
当たり前だが大前提にしているルールがあり、その轡から議論が発展しない
ことにぶち当たってしまう。


とはいえ、収穫だったのは、民際学は政策提言を研究のアウトプットに
盛り込むべきかという議論。


やはり、現場と直結し、当事者として、あるいは研究者として問題に直面した
人間は、現場の当事者としてどのようなアクションをしたらいいのか、
その行動のヒントとなるような提言は必要なのではないか、という意見が多かった。


僕自身も、政策の責任は持てないけれども、政策立案のヒントになるような
イデアは当事者の人と共有できるし、そこまで踏み込むことがやはり大事
なのではないか?という意見。


このスタンスは研究プログラムの内容にも響くことなので、意思表明をすべきだろう。


また、金子先生の「経済学の研究が垂直的なのに対して、民際は水平的」という
発言はそのとおりかもしれない。ただし、水平の意見を垂直に向かわせることこそ
重要なのに対して、「民際は明確な問題解決に向かっていない」という指摘は
反省させられる。


これは政策提言への踏み込みと関わる問題でもある。


鶴見良行、中村尚司両氏は、明確な政策提言を盛り込むべきではないという
スタンスだった。しかし、それは市民運動をベースにしつつ、ジャーナリスティックな手法で
読み手を考えさせることによって、自然発生的に運動に結びつけるようなパワーを両氏が
持っていたからできたのかもしれない。
この個人に拠った、なかなか真似の出来ない能力・技能なのだという点を再検討
しなければならないだろう。


とはいえ、カリスマの個の吸引力を組織に変えるのは、大変なことだと実感。
組織としてのバリューをどうつくるのか、これも民際に課せられた大問題。


○カリキュラム作成のベンチマークとして・・・メモ

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インターナショナル・バカロレア
(Internatinal Bacalaureate Organization)
http://www.ibo.org/


○ディプロマ・プログラム=16-19歳までの学生対象


第一言語第二言語、数学、アート、実験科学、個人と社会
「知の理論」、「創造性・活動・奉仕」、「論文」


○PYP(プライマリー・イヤーズ・プログラム)の6つの教科横断テーマ

○「自分」→「社会」→「自然」の広がり

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