水野俊哉さんの書評

「READING HACKS!」は、非常にテクニカルな内容で、何も考えずに延べ1000冊を読み続けた私ですら今すぐにでも取り入れたいと思わされるHACKが幾つもあり、「本を読む」技術に関して、ここまで突き詰めて考えることが可能なのか、と驚かされます。「情報」ということに関しては、読書から知識を得るための幾つかの便利なサイトは「即戦力」的に使えますし、「本を読む」という行為を非常に身体的なものとして捉えたHACK類は、本書で強調している「アウトプット」のための読書にとって必要不可欠なものだと私も思います。

 つまり、「読書術」というと知的な「頭が良くなる」ための技術と捉えがちですが、そこから「アウトプット」して「ゼロから1」を生み出すクリエイティブは身体的な要素が強いのはいうまでもなく、「インプット」の効率を高めるにも「五感」や「身体」を活用する意識を持つべきなのでしょう。狭く言えば「脳」に刺激を与えることで「インプット」の効率を高めることになりますし、エイベックス・エンタティンメントに勤務する原尻さんのようなクリエイティブ職でなくてもビジネスの現場でのアウトプットは五感のフル活用を意識すべき、という教えなのだと思います。私なりの理解でいえば、「書く」という行為は完全にパーソナルな活動なので、ピッチャーがいいピッチングができるかどうかとか将棋の棋士がその日、調子いいか悪いかみたいに人体の不確実性がアウトプットに作用するため、「何がどう作用するか」は

はっきりわからなくても、それぞれどんな仕事でも「プロ」として自分なりの「HACK」なり、メソッドなりを追求していくことに繋がるのかな、と思います。

 また、今回のHACKS!の教えは職場の部下や先輩のエピソードが多いのですが、「幸せ」に働いて「成功」する上で「好きなことを仕事にする」「職場も学びの場」になるという点が「読書術」を超えた「気づき」として得られました。

 読書を通じて先輩・後輩の間で「教え」と「成長」の関係が構築されたり、読書がコンサルタントとしての活動を広げたり、私のようにいっぱい本を読むことで人に何かを伝えたいという動機であれ、「本を読む」という行為と真剣に向き合うことで実に色々なことが「発見」できるのだと思います。

2008-11-04

水野さん、素晴らしい書評ありがとうございます。