立花式読書論、読書術、書斎術 ぼくはこんな本を読んできた (文春文庫)作者: 立花隆出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1999/03/10メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 182回この商品を含むブログ (64件) を見る

立花隆 「実践」に役立つ14か条

○金を惜しまず本を買え。本が高くなったといわれるが、基本的に本は安い。一冊の本に含まれている情報を他の手段で入手しようと思ったら、その何十倍、何百倍のコストがかかる。
○一つのテーマについて、一冊の本で満足せず、必ず類書を何冊か求めよ。類書を読んでみてはじめて、その本の長所が明らかになる。そのテーマに関して健全なパースペクティブを得ることができる。
○選択の失敗を恐れるな。失敗なしには、選択能力は身につかない。選択の失敗も、選択能力を養うための授業料と思えば安いもの。
○自分の水準に合わないものは、無理して読むな。水準が低すぎるのも、水準が高すぎるのも、読むだけ無駄である。時は金なりと考えて、高価な本であっても、読みさしでやめるべし。
○読みさしでやめることを決意した本についても、一応終わりまで一ページ、一ページめくってみよ。意外な発見をすることがある。
○速読術を身につけよ。できるだけ短時間のうちに、できるだけ大量の資料を渉猟するためには、速読以外にない。
○本を読みながらノートをとるな。どうしてもノートを取りたいときには、本を読み終わってから、ノートを取るためにもう一度読み直したほうが、はるかに時間の経済になる。ノートを取りながら一冊の本を読むあいだに、五冊の類書を読むことができる。たいていは、後者のほうが時間の有効利用になる。
○人の意見や、ブックガイドのたぐいに惑わされるな。最近、ブックガイドが流行になっているが、お粗末なものが多い。
○注釈を読み飛ばすな。注釈には、しばしば本文以上の情報が含まれている。
○本を読むときには懐疑心を忘れるな。活字になっていると、何でももっともらしく見えるが、世評が高い本にもウソ、デタラメはいくらでもある。
○オヤと思う箇所(いい意味でも、悪い意味でも)に出合ったら、必ず、この著者はこの情報をいかにして得たか、あるいはこの著者のこの判断の根拠はどこにあるのかと考えてみよ。それがいいかげんである場合には、デタラメの場合が多い。
○何かに疑いを持ったら、いつでもオリジナル・データ、生のファクトにぶちあたるまで疑いをおしすすめよ。
○翻訳は誤訳、悪訳がきわめて多い。翻訳書でわからない部分に出合ったら、自分の頭を疑うより、誤訳ではないかとまず疑ってみよ。
○大学で得た知識など、いかほどのものでもない。社会人になってから獲得し、蓄積していく知識の量と質、特に20代、30代のそれが、その人のその後の人生にとって決定的に重要である。若いときは、何を差し置いても本を読む時間をつくれ。
(P83-P85)