忍耐・理解・冒険(マイケル・ジャクソンのメッセージ)

○TOHOシネマズ六本木で『THIS IS IT』を鑑賞する。



○この映画に評論を与えるべき言葉は見つからない。


○いろいろな意味で考えさせられる。


○ひとつはエンタテインメントの本質について。
 最後、メンバーと円陣を組んでマイケルが話す言葉は本質論であった。


 「みんな忍耐づよく、僕の要求を理解してくれてありがとう。
  さあ、これからワクワクする冒険をしよう。観客を非日常の世界を導こう!」

 この発言は、ほとんど世阿弥と変わらない。


○キーワードは「忍耐」と「理解」と「冒険」。
 これは世阿弥の「序=忍耐」、「破=理解」、「急=冒険」と一致する。
 その意味で、『THIS IS IT』はエンタテインメントの花伝書たりうる。


○それから教育的側面から。


○マイケルがギタリストに
「ここは君のパート。もっと高い音で行こう。大丈夫、僕がそばにいるから・・・」


○これは最高の教育的発言だ。


マイケル・ジャクソンの天才性は存在論で語られるべきである。


○中学生の時、英語弁論大会の会場へ行くために、社会の富田先生に
 自動車で送ってもらっていた時、「今日は緊張しないで話せるように
 自動車の中ではこれを聴いていこう」と言ってガンガンにかけてくれたのが
 実はマイケル・ジャクソンのアルバム『スリラー』であった。


○僕は「スリラー」「ビリージーン」「ビートイット」を聴いてそのことを
 思い出して、涙が溢れてきた。


○少なくとも、マイケルの音楽で勇気をもらったからだった。


○映画のなかでは「マン・イン・ザ・ミラー」もいい。


○映画館はマイケルのライブを観に来ていた。1曲が終わるごとに拍手。
 エンドロールが終わっても、誰一人席を立たなかった。


○みんな服装にどことなくマイケルのアクセントが感じられる。


○前を歩いている外国人はドンキホーテできらきら光る手袋を買ってきた
 と自慢している。


○なるほど。。。今日は映画ではなく、ライブなのである。


○こんなイベントムービーはもうないかもしれない。


○その後、みんなでひとしきりマイケル談義をする。


○店員が持ってきたお酒の掛け声が良かった。
 

 「じゃあ、マイケルに献杯!」

 
 チンチンとグラスが鳴って「マイケル!」とコップを掲げた。