石塚真一の線について

最近の登山漫画でトップを走る石塚真一さんの『岳』。

岳 (3) (ビッグコミックス)

岳 (3) (ビッグコミックス)


彼の描く線は何だか鳥山明さんと浦沢直樹さんを足して2で割ったような
線で、僕は好きだなぁ。


線のなかに入っていくと、石塚さんってネーム段階のラインを限りなく
生かして書き進めている気がして、ほんと潔い画をなんです。


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僕が本気で線に魅せられたのは、箱根彫刻の森美術館ピカソの絵に衝撃を
受けてからです。


彼の描く線は、本当に天才としか言いようのない全く無駄を感じさせない
極限の線なんです。ピカソの画を見てから僕は自分の線を気にするように
なったのですが、まだまだですね。


思うように線を描くことというのは、文字を美しく書くことと≒なんだけれども、
それは僕の中では自分をコントロールするトレーニングでもあるんです。


だから、線の美しい絵や、文字や、手書きの図やチャートを見ると、
それで大体その人の技術熟達度(=コントロール度合い)が解りますね。


そういえば、湯川秀樹博士が空海の話をしていて、その時空海の書く書と
イメージのセルフ・コントロールについて議論していたのだけれど、
空海とか良寛といった書の達人はどんな境地で線を放っていたのだろう?

天才の世界 (知恵の森文庫 t ゆ 1-1)

天才の世界 (知恵の森文庫 t ゆ 1-1)


その感覚、知りたい…です。