生命からマルチキャリアを捉えなおす

小山との対談の名前は「シナプス」なのだということをすっかり忘れていた。


シナプス前細胞(A)からシナプス後細胞(B)への化学シナプスを経由した神経伝達の様子 (1)ミトコンドリア、(2)神経伝達物質が詰まったシナプス小胞、(3)自己受容体、(4)シナプス間隙を拡散する神経伝達物質、(5)後シナプス細胞の受容体、(6)前シナプス細胞のカルシウムイオンチャネル、(7)シナプス小胞の開口放出、(8)神経伝達物質の能動的再吸収


この会こそ、全く異分野の人びととの共通点を橋渡す、生命の結合構造を
理想としたものではなかったか。だとすれば、僕らが話したコミュニケーション
や質問力は、大脳構造や神経構造のシナプスを再検討し、それを
「リバース・エンジニアリング」してみた時に何の発見があるか、
そこを考えないといけない。


そう考えた時、マルチキャリアは大脳構造に似ていると思った。

小山と対談した内容はもしかしたら大脳古皮質(図のグレー部分)。
つまり、本能をつかさどる脳の機能に対応する「誰もが持ちうる機能」だ。
なぜなら、このシナプスで検討していた分野は、いつでも、どこでも、
だれとでも、持っていて然るべきものなのだ。
それをここでは「共通技能(Basic skill)」と呼ぼう。


実はこの共通技能こそ、学校教育では教えてくれない領域なのだということ。
そして、この技能こそ、社会に出て必須なのだということをいわなければならない。


ここを押さえた上で、シナプス的「ローカル・アダプテーション」を仕掛けていく。
そこに人脈なり、コミュニケーションなり、分析のノウハウが生かされ、
それが貯まっていくと、共通技能の基礎力が高まっていく。そこに既存の縦割り構造の
専門知識というものが乗っかり、そのシナジーで仕事の効率というものが発生する。


こんなことを電車のなかで考えていた。


もしかしたら、あの対談は大脳古皮質をめぐるシナプスの秘密をばらした暴露話
だったのかと思ったのだった。