Dennis Banks and moon
昨日久々に夜歩いて帰る道すがら、月が見えた。
半月だ。
その時ふと、唄が聞こえた。あるシーンがドンと見えた。学校の屋上。月への感謝と叫び。
ネガティブアメリカンの指導者デニス・バンクスの声だった。
大学生の頃、市民運動の集いで呼ばれていたデニスに会いに京都工芸大学に行った。デニスは講演が終わった後、おもむろに「今日は月が美しい。今日皆さんと会えた。あなた方との連帯を唄にして分かち合いたい」と言った。
そして、みんなで学校の屋上に上がり月を眺める。
デニスは大きなドラムを持って表れた。
そして、「おあ〜」と
腹の底からドンと叫び声をあげる。
ドラムが身体の奥に響いてくる。
ここはナバホか?
場はもはや京都ではなくなっていた。
半月を見て、
突然十数年前の声が聞こえる。
月は怪しげに人の記憶さえ解き放つ存在である。